「俺泥沼になってもいい」

 



恋愛末期の頃だった。




その男は行き詰まっていた。

自分のことを世界一の幸せ者だと思わなくなったのはいつからだろうか。

付き合うと色々なことが見えてくると誰かが言っていた。そうかもしれない。



そして男はおぼろげながら一つの答えを見出した。

実は自分は多様性を求めているのだ(浮気の意味)。




運命は皮肉である。

こんなときに限って出会いはやって来る。

好みの女、だった。





彼は決断を迫られていた。


「今決めなければ、始まれない」



男は悩んだ。しかし、結論は出なかった。

二十代最初の決断だった。





急に頭が真っ白になった。部屋の外の音が鮮明に聞こえる。

簡単なことに今まで気が付かなかった。




「俺、泥沼になってもいい」






無茶苦茶、だった。

しかし全ての悩みは解決した。

泥沼が待っていた。





終わった。


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