「今はもうなんでもない」


夏休み、ボクは彼女にきいた。

「前期に好きだったS君はもうなんともないの?」

彼女「いまはもうなんでもない。あなただけよ」

僕はその言葉を信じていた。





夏は過ぎ、二人の間には静寂だけが残った。



”終わって”から2週間後の事だった。

不意に出会った彼女はボクにこう言った。

「またあのS君が好きになったの」





JR津田沼駅、5・6番線のホームだった。

”ヴゥゥゥーーーン”

通り過ぎる黄色い電車。残した風に彼女の髪は揺れる。





彼女は続けた。

「もうそのS君のことが好きで好きでたまらないの」

そう言うと、彼女は立ち去っていった。





取り残された僕。

その日の京葉そばのおばちゃんは、いつにもましてあたたかく感じた。

まさにボクは実感した。



『終わった...。』








【Back to 98年度/春・夏】