秋も深まってきた。 木々も季節の色を纏い、心なしか落ち着いた雰囲気が満ちてくる。 それでもどこか寂しげに舞い降りる枯れ葉達。 そんな通りを歩く男女の姿は、とても印象的に見える。 友人はこう言った。 「明日、彼女と上野動物園に行くんだ。」 どんなに寒くても二人で居れば寒くない、そういうことか。 ふと、頭に浮かんだ絵があった。 枯れ葉...その隣には彼女... そこに幸せがあった。僕の夢があった。 思わず友人にぼやいた。 「いつかは二人で、枯葉舞う通りを歩きたかったよ。」 「でもそれも夢に過ぎないんだね。僕には手が届かない。」 始まる気配さえなかった僕。 冬の訪れを密かに待ち望んだ心の中には、既に雪が降りつつあった。 <終>