あれは飲み会の席でのことだった。
偶然隣になったのは会社の同期の男。
真面目そうな男だった。早稲田の政治経済学部卒と言っていた。
経理に勤めるという彼は俺に熱く語りかけてきた。
「俺、上場してない企業を上場させるのが夢なんだ」
しばらく熱く語り合う二人。
でも、ふと彼が寂しそうな顔をしていることに気が付いた。
「この土地には慣れた?」
僕がそう尋ねると、彼は胸の内を少しずつ語り始めた...。
「上場させるのが夢でね。それでこの会社しかない!と思って来たんだ」
「でもね、地元にいるときから付き合っていた彼女は、俺が東京か地元に就職するものだと
ばかり思っていたらしくて、就職決まったとき唖然としていたよ」
「結局、彼女とはゴールデンウィークに別れてきた。内定もらったときからうまくいってなかったんだけど」
「でもね...7年も付き合っていたから、やっぱやりきれなくて。」
「7年はね、痛いよ」
そう語った彼。
夢のために大切な何かを投げ捨てた男。
彼に乾杯。