「起きたら現実だった」


初めの出会いは廊下だった。

ゼミの関係で彼女のことを知っていた私は、前から歩いてくる彼女に声をかけた。



盛り上がる会話。よく見るとかわいい。背が低くてほっそりしてるってのが第一印象だ。

話によると彼女は付属の専門学校のコらしい。

立ち話もついつい長びいてしまった。



彼女は言った。

「今度いっしょにゼミの資料集めに行きませんか?」

「いつでもいいよ。」

私がそう答えると、彼女は「あ、ごめん今ちょっと急いでるの。」と言い階段を上っていった。



そのとき気が付いた。まだ彼女の名前も何も聞いてないことに。

私は迷わず走っていた。そして階段に駆け寄り2階に見えた彼女に言った。



「あの...名刺か何かくれませんか。」



彼女は笑顔で渡してくれたよ。






あれから一週間。

いつの間にか二人は友達以上になっていた。

端から見たら付き合ってるも同然の仲だった。



ゼミの発表の準備室で、二人はじゃれ合っていた。

まるで彼女がいる様に思えて、幸せだった。


本当に、本当に幸せだった......















そこで目が覚めた。時計を見ると既に昼の12時。

2コマ目の授業で出席を取っていたことを思い出した俺は 急いで友人に電話をした。



「おい、代返してくれた?」


友人は言った。

「したよ。もしかして寝てた?」





外は雨だった。次第に意識もハッキリしてきた俺はこう言った。



「ああ寝てた。なんかね、幸せだった。まるで彼女が居るかのような夢を見てたよ。」

「でもね...」




「起きたら現実だった。」






無情にも友人はこう付け加えた。



「彼女って、いいよ。」









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