とある友人の話。
北海道出身の彼は、この春長野の企業に就職した。
当然彼女を北の地に残したまま、
彼は不安と希望を胸に冬の気配の残るこの地へ降り立った。
遅い春が訪れ、短い夏が過ぎて。
それは遠距離恋愛が始まってから6ヶ月目の頃だった。
「彼女が本州に来る」
そう、用事で彼女が本州に来ることになったんだ。
場所は茨城。
決して近いとはいえない距離なのに、
彼は買ったばかりの新車を飛ばし彼女に逢いに向かった。
再会する二人。
まるで何もなかったように、いや不安を隠すように、
ずっと何気ない会話を繰り返す。
でも、拭うことのできない気持ちがある。
もう決まっていたんだ...
その日、別れ際に彼女はこう告げた。
「私、やっぱり続けられない」
そういって彼女は指輪を彼に返した。
...もう、合い鍵はいらないね。